走る前に頭の中を空にしておきたい

陸上(長距離)・博士課程での研究について。

2021年シーズン振り返り

もくじ レース結果 各期ごと反省 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月 総括 来シーズンへ持っていきたい反省 その他雑感 レース結果 (太字はシーズンベスト、非公認含む) 3/26 院カレ5000m 15'14"8 (Vaporfly NEXT%) 4/4 東大競10000m 33'50"4 (fuelcell 5280) *ペ…

【第98回箱根駅伝予選会】 試合反省と雑感

もくじ 結果 レースプラン レース展開 良かった点と反省点 総括 今後について その他雑感 結果 箱根駅伝予選会68’07”(15’29”-51”-16’19”-47”-3’41”)2nd best(PB+20秒)個人330位 チーム内3位風が強く全体的に記録が低調な中で、及第点の走りはできました。ふ…

東大を出ても必ずしも研究者として成功するとは限らない理由

もくじ 進路どうしよう問題 博士での研究がうまくいっていない理由 既存のテーマの焼き直しは得意だけれど… ペーパーテストで身につかない能力 二つの能力 研究者に課題発見能力が求められる理由 課題発見能力がないから活躍できないというわけではない 結論…

院カレがとても楽しかったので報告します

全ての発端は、飛雄馬の以下のツイート。 全国の大学院生ランナーだけを集めて院生日本一を決めるレースとかあったら面白そう — 阿部飛雄馬 (@hakua_runners) 2020年12月1日 これに九州大の古川くんが意欲を示したらしく、「大会がないなら自分で作ればよく…

骨盤は前傾していればいいってもんじゃない

先日、とある後輩から「脚の慢性疲労が抜けない」という相談を受けた。 走りを見る限り、動きに硬さは感じないのだけれど、練習をするとすぐにお尻やハムストリングが疲れて力が入らなくなってしまうのだという。 さらには、同じ出力で走っているつもりでも…

アルファフライが万人受けしない理由を考えた

もくじ マラソンで好記録を生み出し続けるアルファフライ ヴェイパーフライと違って万人受けしない 万人受けしない理由 スイートスポットを比較する そもそも論 : ヴェイパーフライが万人受けした理由は? 実は重要かもしれない機能 マラソンで好記録を生み…

「ヴェイパーフライじゃないとうまく走れない問題」について考えた

あけましておめでとうございます。。。 今年の箱根駅伝は見ごたえがあった。 復路を最初から最後までちゃんと見たのは何年ぶりだろう。。。 箱根駅伝も「厚底」一色 厚底との別れ 厚底が忘れられないランナー 極端な「厚底適応」の原因は? 膝屈曲の深さと股…

【箱根駅伝予選会2021】試合反省と雑感

ようやく文章を書けるくらいには回復したので、反省と思ったことを書きます。 結果 レースプラン レース展開 タイムが伸びた要因分析(全体編) タイムが伸びた要因分析(個人編) トラックの走力向上によるもの:90秒 厚底の力:30秒 コースの走りやすさ・…

【DC1面接免除採用】学振申請書の書き方

博士学生みのん(@min0nmin0n)さんの、学振申請書の書き方に関する以下の記事が面白かった。 博士進学を目指す学生にとって、有益な情報であふれている。 ocoshite.me 申請書の作成は1月から始めて、第67版が最終版だったらしい。 ここまで徹底して取り組める…

研究室配属の思い出

もくじ くじ引きで研究室配属が決まる 第一志望で決めたい切実な理由 くじ引きに敗れた友人が取った、意外な決断 いつの間にか楽しくなっていた 思いもよらなかったことにハマることもある くじ引きで研究室配属が決まる 僕が所属していた専攻では、卒論研究…

大学院入試のサバイバル

はじめに 院試制度に研究の道を絶たれる 大学院入試の理不尽なところ ペーパーテストの得点で配属が決まる 配属に空席ができても繰り上がらない 制度がそう簡単に変わらない理由 何かいい方法はないか? ペーパーテストの結果で配属が決まる制度への代替案 …

オンライン学会は画期的

今週、4日間にわたって、応用物理学会の秋季学術講演会が開催された。 全ての発表はZoomを利用して行われた。 社会情勢を鑑み、やむを得ずオンライン学会になったわけだが、 いざ参加してみて、 「とても画期的」 だと感じた。 もはや、 学会は今後もずっと…

研究と競技を両立するための3つの鉄則【その3】タスクは可能な限り前倒しして終わらせる

↓ はじめにお読みください xmt6umtk.hatenablog.com この記事で言いたいこと スポーツで結果を出すのに最も大切なこと 院生が競技からフェードアウトしてしまうまでの流れ 人はやるべきことを先延ばしにしてしまう 終わらせるのに必要な仕事量の見通しは甘く…

研究と競技を両立するための3つの鉄則【その2】論文は必要に迫られてから読む

↓はじめにお読みください xmt6umtk.hatenablog.com この記事で言いたいこと 生産性を上げるためには、論文を効率良く読むべき 論文を読む時間を抑えるシンプルな方法 論文は何のために読むのか 情報収集 論理構成の学習 論文は全文読まなくていい どのように…

研究と競技を両立するための3つの鉄則【その1】自分の研究のロードマップを作る

↓ はじめにお読みください xmt6umtk.hatenablog.com この記事で言いたいこと 自分の研究の見通しを持つ 教授は忙しい 助教や先輩も忙しい 何もしないでいるとどうなるか わかりにくいのでここで例え話:カレーの作り方を教わる 自分のことは自分で考える 研…

研究と競技を両立するための3つの鉄則

学部を卒業するとき、「大学院へ進学しても競技を続けます」と宣言する人は少なからずいる。 しかし、実際にはその多くが卒業研究という「洗礼」を受けて疲弊し、大学院へ進学した後も結局忙しいことに変わりはないため、そのまま競技をやめてしまう。 確か…

「忙しい」という思考停止

前回、 「周囲の評価は度外視して、自分の考えで学科を選べばいい、当然ホワイト学科の方が陸上をやる上ではいいけどね」 という話をした。 今回は、蛇足ではあるけれど、 忙しい学科を選んで両立を図ったにも関わらず、見事に失敗した経験談 を書いてみる。…

忙しいから偉い?

後輩とzoomで話をする機会があった。 いろいろと話をする中で、進学先についての相談を受けた。 いくつか行きたい学科の候補があり、その中にいわゆる「緩い」学科(以下、ホワイト学科*)も含まれていた。 後輩は、その学科の分野には興味があるものの、実…

「本番力」の鍛え方

「本番に強い」という言葉がある。 練習で今一つ奮わなくとも、ここぞというところではしっかり結果を出せるということだ。 本番に強い人がいればその逆の人も存在する。人一倍ハードな練習を高い水準でこなしていても、期待されていたほどの結果を出すこと…

行動しよう。

実業家の植松努さんによる、「思うは招く」という名スピーチがある。 植松さんは事業の傍ら、子供の頃からの夢であったロケット開発に専心されている方だ。 www.youtube.com 「思うは招く」というのは、決して「思っているだけで叶う」という意味ではない。 …

僕たちが今やるべきこと(後編)

前回の続き。 ここでする話は、人によっては「そんなの当たり前でしょ」と感じるものかもしれない。 膨大に有り余る時間、やれることはたくさんある。ダラダラとスマホをいじっているのはもったいない。今だからこそ、積極的に自己投資しよう。 自己投資① 読…

僕たちが今やるべきこと(前編)

言うまでもなく、大変な状況が続いている。 僕自身は単なる学生で、感染症や経済に関してなんら説得力のある議論をここで披露できるだけの見識を持ち合わせていない。なので、情勢や政治に関して物申す、というようなことは特にしない。 その代わり、僕たち…

自分を客観視するのは難しい

一通りシーズンが終わり、冬期練を経てそろそろシーズンインが見えてきた今日この頃。「来シーズンの目標・方針」を各自立てるのが通例になっている。 自分も(特に下級生の頃は)そうだったのだが、傍から見ると「さすがにこれはムリだろ…」みたいな目標を…

原因究明と対処

前回の記事では、問題解決のためにはまず問題そのものを徹底的に洗い出し、よく吟味する必要があることを述べた。本質的でない問題に取り組んで時間と労力を浪費するのは馬鹿馬鹿しいからだ。 取り組むべき問題がわかったら、次はその問題の背景にある原因を…

問題を見つける

何かを改善したい場合、行うべきは 現状を分析し、本質的な問題は何かを考える 問題の原因の究明 原因に対する対処の模索 の3つだ。 ここでの「何か」とは、ざっくりとした事柄でいい。 本質的な問題は何か考える 例として、「故障しやすい」ということを考…

価値の再生産構造

半年くらい前、学外の競技場で練習していた時の話。 一般開放で近所の高校生も練習していて、トラックの内側で腕立て伏せをしているのを見かけた。そばに先生と思われる大人がいたので、高校生たちはおそらくその先生から指示を出されて腕立て伏せをしていた…

練習日誌を書く

最近、人気ブロガーのちきりんさんのブログや著書にはまっている。文章が論理的で読みやすいだけでなく、展開される論が合理的かつ明快で読んでいて気分が良い。 なるほどな、と感じたのが、アウトプットの意義に関する以下のエントリ。 chikirin.hatenablog…

刺激走の意味

MGCは見ごたえのあるレースだった。日本選手権においてマラソンが行われない以上、日本人だけでの、しかも数十人しか出場しないマラソンというのはかなり異質であるし、オリンピックが東京で行われることを差し引いても、レースの注目度はかなり高かったよう…

時間を守る

いま(院生になってから)と学部生時代との一番の違いは、組織のルールに縛られているかどうかということだと思う。院生は学部生と一緒に練習することはあっても基本的には彼らと同じチームに所属しているということにはならないからだ。 学部生のときは授業…

走行距離信仰

院試も終わりようやく一息つけそうなのでまた時々書いてみようと思う。結果はまだわからないけれど、どちらに転んでもその現実と向き合わなければならないだろう。 もう9月になり暑さも少しずつ和らいできた。今年の夏も特に故障なく淡々と練習を継続できて…