走る前に頭の中を空にしておきたい

陸上(長距離)・博士課程での研究について。

今後の進退について

このブログをやってきたのはこういう時のためなんだと割り切って、記事を書いて気持ちを整理しておく。


研究室が4月から阪大へ移ることになった。

この話を聞く少し前に、僕は博士課程進学を決心していたところだった。就活しながら、この選択が1番いいということに確信を持てるようになった。研究は好きだし、研究室の環境にも、人間関係にも恵まれている。学振を取れるだけの成果もある(と思うし、周りにもそう言われている)から、実家暮らしを続けるなら経済的にも余裕が出る。

けれど、この話が出てしまって大きく状況が変わってしまった。同じ研究室に残るためには、大阪で1人暮らしをする必要がある。学費も含めて25になるまで養ってもらったというのに、この先も親に頼るわけにはいかない(し、親も既に定年退職して経済的に厳しくなっている時期だ)から、学振が通ったとしてもその範囲内でやりくりして生活する必要がある。無論、きちんと自炊すればそれはできない話ではないが、そもそも学振は100%通るものではない(むしろ通らないのが普通だ)ので、博士課程へ進むことに相応のリスクを背負わなければならなくなった。

さらに、人間関係も変わることになるのもネックになる。毎年4年生が配属されることには変わりないが、進学したときに先輩がいなくなってしまう。もともと、1学年上の先輩が博士進学で、その優秀な先輩がいるから、博士へ行ってからもなんとかやっていけるのではと考えていた。その先輩はこの一件で東大の他の研究室へ進学することになりそうで、1年後委託して大阪へ移る可能性もあるが、そのまま東大に残って博士号を取る可能性もある(どちらにせよその人は東大博士の扱いになる)。

何より1番引っかかっているのは、僕はこれから進学先を受験するという立場である以上、同じ研究室へ進むためには阪大の院試に合格して阪大生となり、博士号も阪大で取ることになるということだ。小さい人間だと思われるかもしれないし、世の中の多くの人を敵に回すような発言かもしれないが、最終学歴が阪大になることをすんなり受け入れることができていない。親に相談しても、やはりこの点については親もかなり気になるらしい。

修士については委託という形で東大で取ることができる。修士生として残された1年、時々実験のために大阪へ出張することはあると思うが、ひとまず東大生として卒業できる。

だから、このタイミングで就職してしまう手もある。これが最も無難な選択だ。研究を始めるまではもともと博士になんて進むつもりはなかったのだから、さっさと就職してしまえばいい。欲しがってくれる企業はたくさんある。インターンや見学へ行く度に「是非ウチに」とお声がかかる。

そうなんだけれど。

僕が博士へ進学しようと考えていたのは、何不自由なく満たされたこの生活を引き延ばしたかっただけだからだと思う。単なるモラトリアムの延長だ。そこに、将来のために博士号を何としても取りたいという野心や、どうしてもこの現象を解明したいといった熱意はあまりないのかもしれない。もちろん、博士号は取れるなら取るに越したことはないし、好きなこと、興味のあることに取り組んでいるという思いは本心だ。要は、その気持ちの程度が生半可なものだったということなのだろう。

今の生活を続けることはもう不可能になってしまった。確実に来月末、終止符が打たれる。それからの1年はどうにでもなるけれど、それより後のことは今決めなければならない。あまりに突然話が来て、それなのにもう来月には決めた進路へ向けて動き出さないといけない。

親や友人と話している中で、ひとまず博士を取ったあとにすんなり就職できるかどうかは考えないことにした。そうなると、修士を取ったあとの3年間、どのように過ごしたいか、博士号を今取るのか社会人になってから取るのかが決め手となる。企業で働くか、先生を追いかけて阪大で博士を取りに行くか、指導教官を変え、全く新しい畑で博士号取得を目指すか。まだアカデミアに未練がある以上、どの選択肢にも相応のメリットとデメリットがある。結局、自分が何をしたいのかが重要だ。そんなことは理屈の上でならわかっている。

親に、自分の好きなことは何かと聞かれた。何が1番重要なのかと問われた。僕はこれまで、自分が1番好きなことを、1番望む道を選んでここまで歩いてきたつもりだった。それなのに、ここにきてそれが本当に自分が1番望んでいたことなのか、わからなくなってしまった。

わからなくなってしまった。

誰もが自分の行く道を決める時が来る。選択肢があるだけ幸せなのかもしれない。贅沢な悩みなのかもしれない。けれど、あまりにも話が急に来て、これまで時間をかけて考えた道はもう選べなくなって、それでいて新たな選択肢の中から1つを選ばなければならない。迅速に。